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生き方・心のあり方

成功者がより上を目指すための条件①(理論編)

成功者が、より上を目指し続け、さらなる繁栄を手にするというのは、じつは容易なようでいて、そうではありません。

多くの人はこう思うことでしょう。「すでにある程度の富や豊かさ、財産等を手にしているのだから、何だってやろうと思えばできそうなもんじゃないか?」

しかし、これは大いなる誤りです。成功者こそ、成功者たらんとするものを持ち得るがゆえに、それがかえって足かせとなってしまい、それ以上の成功を拒もうとする意外な力が働きます。

どうしたらその厄介な、言わば”大いなる壁”を突破することができるのでしょうか?

人が成長と成功を目指す原動力とは?

① 現状に対する不満


人が成功をしたいと願ったり、より成長を目指したいと考える、あるいは、さらなる上をと意識を高める、これはごくごく自然な人間の心理であり営みです。

ところで、どうして人はこのように考えるのでしょうか?

それには、色々な説明原理が考えられるのですが、その最も大きな理由のひとつは、「現状に対する不満」です。人が現状に不満を持つことは、「足るを知る」のような精神を語る場合、紙一重でややもすると傲慢や感謝の無さに見間違われることも少なくはないのですが、それらとはまた違った次元で話をすると、やはりまた人は「現状に対する不満」というものも、人の自然な営みの中で必要なものであると言えます。

それがないと、人は変化を拒み、現状に甘んじることにもなりかねないからです。変化と刺激のない怠惰でつまらなく平坦な人生を送ることになることも予想されます。


ですから、現状に対する不満は、肯定すべきものです。これはコーチングの立場から見ても同様です。

現状に対する大いなる不満が募れば募るほど、「出世したい」「成功したい」とか、「金持ちになりたい」「家族を幸せにしたい」から、さらには「もっとさらなる上を」とか、「率いる会社をもっと繁栄させたい」「社員をもっと幸福にしたい」「もっと世の中をよくしたい」などという抽象度のどんどん高い方向へマインドは推移していきます。

抽象度とはこちら


つまり、人がより高みへと向かうための原動力とは「現状に対する不満」そのものであり、重要なことは、「不満の蓄積の量と成功や自己変革への渇望感は比例する」ということです。

コーチングによる人生の大変革というのは、このエネルギーを根源としています。ですのでコーチングでは、「人生の目標であるゴールは現状の外側に」というルールが存在しています。

ゴールが近いと、現状に対する不満はあまり募らず、無意識に自己変革に対する感情は緩み、現状に甘んじやすいというきらいがあるからです。人生を変えるというのは、大いなるエネルギーとモチベーションが必要なことは、人生経験が深まるほど、誰しも自然に悟ることです。

その大いなるエネルギーとモチベーションをひねり出す、あるいはマインドが放つように仕向けるためには、それ相応の現状に対する大いなる不満とその蓄積が必要であり、それを可能にするのが”現状からなるべく遠く離れたゴール設定”なのです。


マインドの発するこのエネルギーとモチベーションというのは、輪ゴムのようなものです。

輪ゴムの端と端をゴール並びに現状とに見立てると、両者がなるべく離れている方が、その両者を引きつけようとする復元力、つまりはゴール達成能力とマインドの放つエネルギーもより大きなものとなる性質があります。

コーチングによるゴール設定のルール
  1.  ゴールは「現状の外側」に設定する
  2.  心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する
  3.  ゴールは人生の各方面にまんべんなく設定する

※ 「現状の外側」のゴールとは、現在の延長線上の未来には到底起こり得ない、自分が大きく変わらない限り、絶対に達成できないような遠く高いゴールのことです。達成方法が現時点ではまるで見えないゴールです。

② 自己変革と成功に最も必要な渇望感


先に挙げたゴール設定の2つめのルールである、「心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する」についてですが、この部分は世間ではやや誤解されがちです。

というのも、このルールは、「Want-to」(~したい)という言葉に例えられることがよくあります。これ自体は特に間違いではありませんし、非常に分かりやすく重宝する表現なのですが、誤解を生んでしまうこともよくあります。

「Want-to」や「~したい」という表現は、私自身、これまでにブログでも何度も多用してきた表現です。端的で分かりやすいからですが、最近は、この表現は改めた方がいいかなとも感じています。

”~したい”と言っても、Wantが本来語源的に表しているのは、単に欲しいとかしたいというのではなく、「不足や欠乏に対する苦しみ」(あるいは不満と渇望感)が本来の語感です。

These people want food and shelter.

これらの人たちは食べるものも住む所もなくて苦しんでいる。

研究社 新英和中辞典


単に”~したい”というのと、苦しみや不満、そして渇望というのでは、そこに潜在的に込められている感情の強さに大きな違いがあります。

コーチングにおけるゴール設定の本来あるべき思いの強さとゴールに対する感情というのは、現状に対する大いなる不満とそれを克服するための人生をかけた理想の自分に対する渇望と言った方が正確です。

このレベルになると、誰かに止められてもあきらめることもないし、人に止められるはおろか、自分さえも自分を止められないほどの強い思いと欲求、あるいは文字どおり”渇望”こそが、ゴール設定の本質なのです。

このゴール設定に対する感覚をちょっと知っているだけでも、ゴールに関する見方というのは、ずいぶんと変わるのではないでしょうか?

成功者がより上を目指す難しさ


現状への強い不満とゴールに対する渇望感こそ、自己変革やその人の成長と発展を支える原動力であることは、これまでに述べてきたとおりです。

じつは、このことが、成功者がそれよりも上を目指すことの難しさを象徴しています。なぜなら、成功すればするほど、現状に満足してしまうからです。すなわち、現状に満足してしまえば、その上に対する渇望感さえも消え失せてしまいます。

そもそも、人間が最も遺伝的にというか内在的に持っている本能というのは、「安寧に生きる」ことです。それはそうで、誰も心から不幸や苦しみを求めて生きる人などいませんし、人間をはじめとする全ての動植物はいかにして安全に生き長らえることができるかという探求こそが、生命の進化の過程と言えます。

成功者というのは、成功してしまったがゆえに、すでにある程度の幸福と豊かさ、あるいは安寧を手にしています。生命の根源的な欲求でありゴールをすでに達成してしまったのです。ですから、遺伝的に生命が本来持つ渇望感を発火させる必要が、もはやその人の脳にはありません。

これが、成功者がより上を目指すことが難しくなる本当に理由です。


こうなると、その人の脳の最大の役割はというと、現状維持になります。安寧に生きることを目標とする人間が安寧に生きることを達成してしまうと、今度はその安寧に生きている現状を維持することが、安寧に生きるというゴールの次の目標となります。

もちろん、すでに手にした豊かな現状が脅かされるような事態に遭遇すれば、その人の脳、というより潜在意識は慌てて軌道修正を試み、再び、過去に手にした成功や安寧な生活を取り戻そうと、マインドはエネルギーを創造し始めます。

しかし、そういった特別な事態にでも遭遇しないかぎり、一般に、成功者というのは現状維持に徹します。そのひとつに、社長という椅子や何らかの頂点となり得る地位・名誉などです。

そこに上り詰めるまでは必死に努力なり行動力を発揮してきた熱意ある人物が、地位や名誉を手にした途端、それまでの行動力やモチベーション、創造性などを急に失ってしまうのはこのためです。彼らはもう、成功してしまった、あるいはゴール達成してしまったのです。これを巷に言う「燃え尽き症候群」と呼びます。


ちなみに、成功者という人々が手にする成功の中身や豊かさというものは、もう少し具体的に言うと、概ね、人は以下の順番に欲求や願望を持ち、そして満たしていくようになります。

【マズローの5段階の欲求】

  1.  生理的な欲求(空気、水、食物、睡眠)
  2.  安全への欲求(恐怖や不安から解放されること、快適)
  3.  愛と帰属の欲求(愛されること、居場所があること)
  4.  自尊心の欲求(他人に認められること、尊敬されること)
  5.  自己実現の欲求(自分らしく生きること、心の充実)

成功者をさらに高みへと誘う感謝力とは?

① 成功レベルとエネルギーの種類


ずいぶんと前置きが長くなってしまいました。

上記のような成功者がさらにその上を目指し、現状維持の壁を突破するための秘訣は、じつは、先にキーワードを明かしてしまうと、「感謝力」あるいは「忘己利他」になります。

まずは、以下の引用をご覧ください。

【5種類の成功エネルギー】

  1.  稼げない人 … 不満・反発のエネルギー
  2.  ぼちぼち稼ぐ人 … 願望のエネルギー
  3.  ぼちぼち稼ぐ人 … 好きや得意のエネルギー
  4.  大きく稼ぐ人 … 悔しさや意地のエネルギー
  5.  ものすごく大きく稼ぐ人 … 感謝と使命感のエネルギー

西田文郎 著「強運の法則」p291より引用

稼ぎの大きさは「何のために働くか」で決まってしまうというわけだ。

(中略)

人を成功へ駆り立てる最強のエネルギーが、「感謝」と「使命感」のエネルギーである。これを脳が感じているかいないかが、いわば一流と超一流の差である。

「一流」のスポーツ選手と「超一流」のスポーツ選手、「一流」の経営者と「超一流」の経営者がいるように、その違いは一見わかりづらいが、しかし感謝と使命感を持つか持たないかで、もの凄く大きな差が、この両者の間には歴然と存在しているのである。

西田文郎 著「強運の法則」p143・296より引用


上記の引用書籍は社長・経営者向けの内容ですが、それでも何を目的に働いたり稼ぐか、あるいはどういった理由や心持ちで取り組んでいるかによって、稼ぎや成功度合いの大きさが明確に変わってしまうということがよく分かると思います。

コーチング的に言うと、その人の心持ちと理由次第で、その人が持つビジョンやゴールの大きさ、どのくらいの成功レベルを本気で目指すのかに大きな違いが生じているということです。

成功のための目的というのは、成功レベルやその大きさと規模に直結しています。そして、ここが分かってしまうと、どのようにしたら、今の自分がより大きなビジョンを描いたり、本気になれるのかということが、明確に見えてくるようにもなります。

上記のとおり、単なる好きとか得意というだけでは、いずれ成功レベルとゴール設定の高さに限界が来てしまいますし、単に現状に不満だというだけでは、途方もない成功など不可能なのです。

なぜ現状に不満を持つのか、その目的は何なのか、今、自分の感情に何を感じているかによって、その人の未来は概ね決まってしまうのです。

② 感謝力と利他


最後に、どうして「感謝のエネルギー」が最も大きな成功の秘訣となり得るのかというところを解説して、この理論編を締めくくりたいと思います。

  1.  稼げない人 … 不満・反発のエネルギー
  2.  ぼちぼち稼ぐ人 … 願望のエネルギー
  3.  ぼちぼち稼ぐ人 … 好きや得意のエネルギー
  4.  大きく稼ぐ人 … 悔しさや意地のエネルギー
  5.  ものすごく大きく稼ぐ人 … 感謝と使命感のエネルギー

①~④は、「利己的な欲求」によるもの

⑤だけは、「利他的な欲求」によるもの

感謝というのは、突出して成功(の度合い)に直結する絶対的なエネルギーとなり得ます。

感謝の気持ちが深ければ深いほど、より多くの人に対して、より大きな利他心や使命感、恩返しの心が湧いてくるようになるからです。

①自分ひとりだけを成功させるのと、②自分と家族を幸福にする場合と、それから、③恩返しをしたいと真摯に想う人が100人いた場合とを、ちょっと想像してみてください。

自分ひとりだけを幸福にしたいのであれば、それをある程度成し遂げたら、それで終わってしまいます。その先はあまりありません。前述しましたが、自分が満たされてしまうと、より明るい未来に対する強い渇望感を失い、後は現状維持に陥ってしまうからです。

ところが、ここに感謝力が加わると、その後の人生に想像を絶するほどの開きが生じてくるようになります。それは、他人を幸福にしたいという利他心と使命感が養われ、はじめは自分ひとりだけを満たせば良かったはずの小さなゴールが、今度は他人に対する壮大なゴール設定へと変化をしていくからです。

他人の幸福や成功、豊かさを願うという視点が加わることで、ゴールの質と幅と規模が、抽象度が一気に高い次元へと移り変わります。感謝というのは、ビジョンの壮大さに歴然の差が表れて当然のことなのです。


肺結核で闘病生活を送った経験のある私は、死とはどういうことか、生きる目的とは何かという根源的な問いに向き合い、哲学書などを読んで思索を深めてきました。

その中で、宗教の究極的な教えはいずれも同じだということに思い至りました。それが「忘己利他(もうこりた)」です。

これは天台宗の開祖、最澄(さいちょう)の教え「己を忘れて他に利するは慈悲の極みなり」に由来する言葉です。自分のことは後にして、まず人に喜んでもらえる行動を重ねることこそが最も尊い。

そのように生きてこそ人は幸せになれるのだという教えだと受け止めています。つまり、自分の人生を大切に、幸せに生きたいならば、我利ではなく利他に徹しなさいということでしょう。

自分のことだけを考える人生はおもしろくない。他人を思いやり、他人のために行動してこそ、人生は楽しく充実していくのだと思います。周囲の人たちを幸せにしてこそ、自分が一番幸せになれるのです。

(中略)

真っ先に身近な人に幸せを与えるようにすれば、その幸せはいつの間にか何倍にもなって自分のところへ返ってきます。

私自身も60年余りの経営経験から、そのことを実感してきました。

(中略)

忘己利他こそが人生のすべてだと言っても過言ではないと思います。

塚越寛 著「末広がりのいい会社をつくる」p192~195より引用


次回につづく