この記事では、コーチングの実践において「ゴールが見つからない」という人のための対処方法について解説をしています。
コーチングとは?ゴール設定とは?

コーチングとは、人生を幸福で豊かにするもの。そのためにどういったマインドの使い方をすると、それらを享受することができるのか? それがコーチングの目的です。
そして、コーチングとは、「人生の目標である高いゴールを設定し、そのゴールをスムーズに実現するためのマインドの上手な使い方」の技術と表現することもできます。
というよりも、コーチという言葉の語源から見ると、コーチングとは「目的地まで到達するための技術」というのが、その本来の意味と役割です。
コーチの語源とは、ヨーロッパのハンガリーにある「コチ村」が基になっていて、この村で16世紀頃から作られていた”馬車”を指しています。
馬車は目的地まで人や荷物を運んでくれるものですから、そこから派生して、「コーチとは、人を目的地まで連れていってくれる人」という意味で使われるようになりました。
ですから、コーチ(Coach)のing形であるコーチング(Coaching)とは、「人が目標や目的地まで到達するための技術と方法論」というのが、その本質的な意味と役割なのです。
コーチングの成り立ちやコチ村についてはこちら
上記の話からも分かるように、コーチングの実践には「目的地があることが大前提」となります。そもそも、コーチングは目的地まで行くためのツールなのですから、当然と言われれば当然です。
その目的地のことをコーチングでは「ゴール」と呼びます。人生や組織の壮大な目標や成し遂げたい野望など、より現状から遠く離れた高い目標が望ましいとされます。
- ゴールは「現状の外側」に設定する
- 心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する
- ゴールは人生の各方面にまんべんなく設定する(バランスホイール)
※ 「現状の外側」のゴールとは、現在の延長線上の未来には到底起こり得ない、自分が大きく変わらない限り、決して達成できないような遠く高いゴールのことです。ゴールの達成方法が現時点ではまるで見当もつかないようなゴールです。
ゴールが見つからない人のための対処方法
① ゴールが見つからないと思い込んでいないか?

ゴールが見つからないという人の最も根本的な理由のひとつは、「ゴールが見つからない」というマインドが根付いてしまっていることです。
いつ、そのようなマインドができてしまったのかというと、今、この瞬間にもです。
あなたがこの記事を読んでいるということは、あなたは今も「ゴールが見つからない」と悩んでいるはずです。
つまり、そのセルフイメージ(自分像)であり、セルフトーク(自分に語りかける言葉)こそが元凶となっているのです。「ゴールがなかなか見つからない」などと頻繁に口走っていたり、口癖になってはいないでしょうか?
そのセルフトークこそが、最大の問題なのです。
「ゴールは必ず見つかる」、あるいは「自分には大きな夢や願望やゴールがある」と考えるようにしましょう。自分自身の脳と潜在意識に対して、そのように語りかけるようにしましょう。
子供騙しのように感じますか?
いいえ、違います。これがマインドの上手な使い方に関する最も基本的なテクニックなのです。自分自身に語りかける言葉(セルフトーク)こそが、おのれ自身のマインド(脳と心)を形成し、セルフイメージを築き、その人の人生と身の回りの生活環境を決定しているのです。
また、もうひとつのやり方として、以下の例文のようにアファメーションを自分に対し語りかけるという方法もあります。アファメーションとは、自分に語りかける文章、自己肯定や宣言のようなものです。
私は、自分にとって真実のゴールとは何かを知っている。そして、そのゴールに向かって今自分がどうあるべきかをリアルに体験している。こうして無意識の力によって自然で無理なくゴール達成できる私は、毎日がエキサイティングで楽しい。
私はもっと大きな人間になれる。もっと多くのことができる。もっと多くを手にすることができる。私は自分自身のこと、自分に語りかける言葉からはじめ、可能性の扉を切り拓いている。
② 仮のゴールでも構わない?!

ゴールが見つからないという人に、ゴール設定を難しく考えすぎている傾向があります。
ゴールとは、人生の大いなる目標であるべきです。現状のコンフォートゾーンの外側にある世界です。
そのようなゴール設定にしないと、私たちの未来は現在の延長線上という平凡で変化と刺激のない、あるいは、過去や現状に縛られたマンネリ化した人生になってしまうからです。
現状から遠く離れたゴール設定をしないかぎり、マインドは現状肯定と現状維持に徹してしまい、人生を大きく変えることは決してできません。
ですから、ゴール設定の最初のルールにあるように、「ゴールは現状の外側に設定する」という内容が盛り込まれています。
しかし、このようなルールを学ぶと、まじめな人ほど身構えてしまいます。「ちょっとの勢いと思いつきで描いたような無邪気な夢やゴールではダメだ」と無意識に判断してしまうのです。
その意味では、ゴール設定のルールなど真剣に学ばない方がいいのかもしれません。のびのびと自由に創造力を働かせてゴール設定するのが難しくなってしまう場面というのは、私自身たびたび、過去に何度も自分や他人も含めて経験してきていることです。
しかし、何らかのゴール設定に関する指針というのはやはり必要であって、それがないと、コーチングの体系そのものが崩れてしまいかねません。このあたりの部分が、多様性と創造性のあるべきゴール設定を難しくしてしまっている複雑な事情があります。
ゴール設定は、最終的には、人生の壮大な目標としていくことが理想です。
ただ、あまりに最初からそのように気構えて、難しく真剣に考えすぎると、創造力(想像力)に緊張が走り、ゴール設定が困難になります。
「ゴール設定は仮でもかまわない」という、ある種の気楽さと楽観も大切です。最初のゴール設定のうちは、気分とノリと勢いで、無作為に夢や願望やゴールを描いてしまっていいのです。
素直で純朴な感情と感覚にしたがって、より自然体になって創造力を膨らませましょう。そうして、ゴールや小さな目標でも思いついたら、それを書き留めておいて、仮のゴールとしておきます。
後になって、「このゴールは自分にとって、本当に必要なものではないな」とはっきり判断することができれば、いつでもそのゴールは変更したり、更新することができます。
また、そのような仮のゴールや、それを書いたメモというのは、他人に見せるわけではないのですから、なおさらです。目の前に深紅のフェラーリが通り過ぎていって、「よし、かっこいいから、自分もフェラーリに乗ろう」くらいの勢いと気持ちで全然かまわないのです。

③ セルフイメージを高める

セルフイメージの高さとゴール設定のしやすさとの間には、密接な関わりがあります。
例えば、「自分は得意な分野もないし、人から良くできると言われるようなこともないから、そんな自分なんかが高いゴール設定をしたところで、本当にそれを達成することなど、自分にできるのだろうか?」というように、自分を卑下したり、悲観的に考えている人は、無意識に高いゴールを自ら遠のけ、ゴール設定をしようとはしません。
つまり、セルフイメージやエフィカシーの高さとは、ゴール設定に直接的に影響を与えます。エフィカシーとは自負心・自己効力感、「自分の能力に対する自己評価」のことです。
セルフイメージが高い人ほど、より壮大で高いゴールを設定することができるようになるのです。
セルフイメージやエフィカシーを高めることができれば、ゴールに対する偏見やスコトーマが外れ、活力と勇気が湧き上がり、自然で無理なく、より高いゴールを見つけて設定することができます。
では、どのようにしたら、セルフイメージを高めることができるのかというと、その第一歩とは、「自分を卑下することをやめる」ことです。
「自分に対し、悲観的に捉える考え方や、自身のエフィカシーを下げてしまうセルフトークをなくすこと」です。
人は、無意識にですが、結構多くの自分(の潜在意識)に対しマイナスやネガティブを与える言葉と口癖を発してしまっているものです。そして、日本人の場合、謙遜(けんそん)の習慣がそれを助長しています。知らず知らずのうちに、自分のエフィカシーを下げてしまっているのです。
- 「自分なんかまだまだです」
- 「自分には到底無理です」
- 「あの方に比べたら私などは」
- 「私はいつも失敗ばかり多くて」
- 「どうして自分はダメなんだろう」
ネガティブな言葉を使い、発すれば発するほど、自分自身のマインドと潜在意識を傷つけるだけです。豊かで幸福な人生を遠ざける一方です。
もうそれはやめましょう!! それがエフィカシーを高める第一歩となります。
④ 成功者に接する

成功者とか、憧れの人、尊敬している人、運気の高い人などに積極的に会うようにしましょう。これは最高の成功法則です。
彼らの考え方や生き様、オーラと空気感、身のこなしと佇まい、アクティブな判断と行動力、これらを直接、自分の目で見て確かめて、そして肌で感じ、それらを自らにどんどん取り入れていくのです。
こうすることで、じつは、エフィカシーは最も容易に高まります。そして、あなたのオリジナルなゴールも自然と見つかるようになるでしょう。
あなたが尊敬する人、憧れる人、ロールモデルとしたい人とは、どのような人物像ですか? もしくは、それは誰ですか?
まずはその素養のある人を5人ないし10人挙げてみましょう。
⑤ 足を運び、見識を深める

多くの様々な体験と記憶、知識と見聞、見識の広さというのは、ゴール設定の幅を広げます。ゴール設定の起爆剤となり得ます。
例えば、「世界で活躍するカメラマンになる」というゴールを設定するにしても、カメラマンという職業を知らないことには、ゴール設定することなど到底不可能な話です。知らないものは、見えもしませんから、当然です。
当たり前ですが、カメラという知識があり、カメラマンという職業を知っているから、そのようなゴール設定が可能になります。
ですから、人生経験という心の器と幅の広さが、ゴール設定の可能性を飛躍させるのです。
多くの経験と体験を積み重ねましょう。とにかく、色々と実践してみることです。行動を起こしてみることです。
失敗なんていくらしたって大丈夫です。失敗しない人など、この世には存在しません。失敗を恐れているうちは、成功や豊かさとは無縁であることを悟るべきです。
世の成功者たちや活躍している人々をよく観察してみてください。彼らは、色々と多くの失敗をしでかしながら、学びと見識を深め、成長していき、そしてそれが糧となって成功を手にしているはずです。
行動した結果、足を運び移動に費やした時間と距離の分だけ、見聞と見識が広がり、そして深まり、成功と豊かさが近づいてきます。