この記事では、「サブゴール」という考え方・概念について解説をします。
サブゴールを理解するとゴール達成が加速し、コーチングがものすごくうまくいくようになります。「サブゴールを制する者はゴールを制する」のです。
サブゴールとは?

① サブゴールという考え方
サブゴールとは、「ゴールの世界を構成する具体的な要素」、または、「ゴールを達成していく過程での明確な中間地点」のことです。
コーチングにおけるゴール設定とは、「現状から遠く離れた世界」「現状のコンフォートゾーンの外側」に設定するのですが、サブゴールとは、「漠然としがちな現状の外側のゴールに必要な明確な要素のこと」ととらえると分かりやすいでしょう。
例えば、「年収2,000万円の生活」というゴールを設定したら、サブゴールとは、「○○という仕事で成功する」「○○のクルマに乗る」「□□の優雅な家に住む」「毎月海外旅行をする」などです。
コーチングの場合、ゴールは現状の外側に設定します。それがコーチングにおけるゴール設定のルールです。
「現状の外側のゴール」とは、今のままの延長線上の未来では到底訪れない突飛な人生の目標のことです。現時点で、達成方法が全く分からないようなゴールです。現状のコンフォートゾーンの外側にある世界です。
- ゴールは「現状の外側」に設定する
- 心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する
- ゴールは人生の各方面にまんべんなく設定する
② サブゴールの具体例
サブゴールの具体例をいくつか見ていきましょう。そうすると、サブゴールがずいぶんと身近に感じられるようになるはずです。
大きな家に住むというゴール

「大きな家に住む」「豪邸に住む」「別荘を所有する」などがゴールとして考えられます。ただ、このままの状態だと、ゴールの世界が漠然としていて、いまいちピンときません。
そこで、サブゴールが登場します。明確なサブゴールを設定すると、漠然としていたゴールの世界がより鮮明にイメージできるようになるのです。
後述しますが、明確ではない目標では、脳はそれを真の目的地として認識し本気でそれを達成しようとはしてくれません。
「大きな家に住む」がゴールだとすると、サブゴールとは例えば、以下のようなものです。
- 5LDK
- 畳とフローリングの部屋がある
- ○○製のアイランドキッチン
- 〇〇メーカーのダブルベッド(品番:○○)
- DUFYの絵を飾る、アンティークの棚を置く
- ○○のクルマがゆったり入る車庫
- バーベキューのできるテラス
- マンションならコンシェルジュが備わっている
- 玄関とお風呂は○○な雰囲気と構成
- ペットに○○を飼おう
これらひとつひとつがサブゴールになります。あるいは、「ミニバランスホイール」と表現することもできます。
お金持ちというゴール

「お金持ち」というゴール設定も、このままの状態では漠然としてしまって、脳が本気を出してそれを目指そうとはしてくれません。「年収2,000万円」などというゴールも同様です。脳や潜在意識にとっては、「それってどんな世界なの?」と目指しようがなくなってしまうのです。リアリティに欠けるわけです。
ですから、お金持ちの世界観や情景をよりリアルにしていくことが、ゴール達成の秘訣です。あなたが真に目指すお金持ちというビジョンの中身をサブゴールとして明確にしていくことが重要です。
- どういう家に住むか?
- ○○のクルマに乗ろう
- 家族とはどのような生活を楽しむか?
- ○○をして友人や仲間たちや両親を喜ばせたい
- お金の使い道、何にどう役立たせるか?
- お金のミニバランスホイールを突き詰める
- 社会に対する貢献はこうしよう
- 自分の存在意義と役割を考える
- 資産をこのように築こう
- 投資家としても生きるのはどうか?
これらの中身を突き詰めていくことがサブゴール設定です。
健康になるというゴール

病を患う人は、「真の健康」というゴールに憧れるかもしれません。しかし、健康をゴール設定し、それを強く望んでいても、実際に真の健康を手に入れる人はそれほど多くはないものです。
その原因とは、多くの人々は健康を望んでいても、健康になった自分の理想の姿や生活をきちんとイメージできていないからです。脳や潜在意識はその世界を真の目的地として認識していないのです。
この場合もやはり、サブゴールの設定が重要です。
すなわち、「健康になって具体的に何をするか? どう生きるか?」ということです。この中身がサブゴールに当たります。
- 家族と海外旅行をしよう(旅行先リストを作る)
- スポーツに挑戦する、○○大会で優勝する
- スタイルや体重・○○のサイズをこうしよう
- お洒落な生活や○○ファッションを楽しもう
- 理想の恋愛や結婚生活を思い描く
世界平和というゴール

「人類と世界の平和を実現する」とかそれに準ずるもの、これらを成し遂げる偉大な人物像を思い描く壮大なゴールを設定する人もいるかもしれません。
過去にもそういった偉大なる人物や賢人、学者や政治家や名経営者、○○の神様と呼ばれるような人々が数多く存在しています。
- 真の世界平和(戦争と差別をなくす)
- 世界中のすべての人達が成功と幸福を享受することのできる社会の実現
- 不老長寿を開発・成功させて、人類の発展と繁栄に貢献する
- 全人類に充分な教育・食料・医療を提供する
- 日本の財政再建、国家予算を黒字にする
- イギリスの支配下からインドを解放する(マハトマ・ガンジー)
【松下電器(松下幸之助)の経営理念「水道哲学」】
産業人の使命は貧乏の克服である。
そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。水道の水は価(あたい)あるものであるが、通行人がこれを飲んでも咎(とが)められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。
産業人の使命も、水道の水のごとく、物資を無尽蔵にたらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福をもたらし、この世に極楽楽土を建設する事が出来るのである。
松下電器の真使命もまたその点にある。
サブゴールとは、「ゴールの世界を構成する具体的な要素」、または、「ゴールを達成していく過程での明確な中間地点」のことですから、上記のようなきわめて規模が大きく抽象度が高く、壮大なゴールの場合、サブゴールの設定は不可欠です。
「世界平和」と言うだけでは、あまりに漠然としすぎています。世界平和に向けた中間地点、世界平和を達成するうえでの成し遂げるべき明確な目標や課題・自分自身のあるべき姿が非常に数多く存在するはずです。それがサブゴールなのです。
自分が必要と考えるならば、例えば、ゴール達成の過程で「政治家になる」とか「○○大学に入る」とか、「○○の技術を究める」「世界的権威になる」「○○を理念に持つ組織を設立・運営する」などがサブゴールとして考えられます。
サブゴールの重要性とは?
① サブゴールとゴール達成

さて、どうしてそんなにもサブゴールが重要なのでしょうか?
それは、脳や潜在意識とは、リアリティ(臨場感)を感じないものは目指すべき真の目的地として認識しないからです。別の言い方で表現すると、リアリティのないものは、脳はコンフォートゾーンとして選択しないからです。
コーチングにおけるゴール達成において重要なことは、コンフォートゾーンを現状からゴール側へと移行させることが、その基本的な考え方になります。
しかし、矛盾するような話ですが、ゴール設定というのは、じつは、ゴール設定のルールである「現状の外側」という制約をきちんと満たせば満たすほど、ゴールの世界の臨場感は下がってしまいます。
ゴールが現状から離れていればいるほど、その世界は現在の自分とコンフォートゾーンから遠く離れた世界になりますから、イメージしづらく、漠然としがちになるからです。リアリティなど決して生まれません。
そこで、サブゴールの設定によって、具体性を補い、ゴール側の世界のリアリティを強化し、脳や潜在意識に対して真の目的地を認識させることが必要になります。
I(Image)× V(Vividness)= R(Reality)
イメージに鮮明さが伴うと、リアリティになる
鮮明で明確なイメージの描写が、脳内のリアリティをつくるのです。そして人間は、脳内に蓄積されたリアリティに従って判断し、行動します。
ゴールを達成するために最も重要なことは、脳内における「ゴールの世界のリアリティ」です。
それは、コーチングの核心とは、「ゴールの世界を強くリアルに感じると、ゴールが現実になる」というものだからです。
※ リアリティとは、脳内におけるその人にとっての真実のことであり、自分自身のあり方と、そこから見える世界の姿です。
脳内に描かれたゴールの世界、もしくはその世界にいる自分の姿にリアリティが与えられると、それらがコンフォートゾーンとして選択され、私たちはスムーズにゴール達成へと向かうことができます。
リアリティのないものは、どんなに一生懸命に目標設定をしても、脳は自分にとって関係のないものと認識し、スルーしてしまいます。
コンフォートゾーンというのは、いかに臨場感に満ちているか、リアルかによって決まるのです。
② 脳と潜在意識の取扱説明書

脳は、目標・目的地を明確にしないと、答えを出そうとはしてくれません。
脳の特性・潜在意識の扱い方というのは、脳には明確な指示が必要です。
- 自分は何が欲しいのか?
- 自分は何を心から求めているのか?
- 自分には何が本当に必要なのか?
- 自分は何に対して本気になれるのか?
- 自分の真の目標と目的地とは、一体何なのか?
これらの指示が明確であればあるほどに、リアルであればあるほどに、自分に足りないものを本気で探してくれるのが脳なのです。
セルフイメージとは、”自動操縦装置”そのものです。
脳や潜在意識には「目標達成のための自動操縦機能」があらかじめ備わっていて、より明確で具体的なイメージを描けば描くほど、それに向かって本気で動き出すという特性があります。
ですから、「心から望む具体的な目標やサブゴールをきちんと設定すること」が重要なのです。
その人にとって臨場感のあるリアルな言葉や目標やサブゴールは、必ず、映像やそれに伴った感情を想起させ、ゴール側の世界のリアリティを高めます。
- ゴール側の世界をできるだけリアルにしていく、具体的かつ明確な「サブゴールの設定」をする
- ゴール側のリアリティを強化する、「アファメーション」や「ビジュアライゼーション」を習慣にする
- 日々のセルフトークをゴールに対して肯定的なものにマネジメントする
「明確さ」と「思いの強さ」と「繰り返し」によって、頭の中のイメージが変わり、コンフォートゾーンがゴール側に移行し、物事がそうあるべき新しい感覚が生まれます。
サブゴールとビジュアライゼーションはワンセット

コーチングではよく、「ゴールを詳細にイメージして、ビジュアライゼーションしましょう」などと言われることがありますが、これは正確な表現ではありません。
コーチングにおけるゴール設定とは、「現状の外側」に設定するものですから、ゴールの内容にもよりますが、ゴールは概ね、明瞭・明確にイメージしにくく、漠然としたものになりがちだからです。
例えば、「フェラーリのスポーツカーを所有して、それに乗って日本を一周する」というような個人的なゴールであれば、そのゴールは現状の外側ではあったとしても、イメージそのものはそれほど難しいことではないでしょう。

しかし、「真の世界平和」とか「世界中のすべての人達が自由と成功を享受することのできる社会の実現」「スポーツを通して、世界中のすべての人々の健康増進に貢献する」などといった、より多くの人々の視点を伴った抽象度の高いゴールの場合、ゴールの世界の鮮明なイメージの描写は非常に困難なものです。
「ゴールを詳細にビジュアライゼーションしましょう」というのは、ゴールが現状の外側であればあるほど、不鮮明なゴールの世界を明確にビジュアライゼーションするという矛盾した話になってしまうのです。
この場合、ビジュアライゼーションする内容とは、ゴールの世界そのものではなく、サブゴールになります。
ゴールを構成する具体的な要素やその中間地点となるサブゴールを明確に設定して、「サブゴールをビジュアライゼーションする」ことによって、脳内でのゴール側の世界のリアリティを高め、強化し、コンフォートゾーンを現状からゴール側へと移行させることができます。
サブゴールが充実していればいるほど、ビジュアライゼーションは容易になり、イメージがよりリアルでありありとしたものに変貌します。
【コーチングを実践するための7ステップ】
- STEP1 ゴール設定
- STEP2 スコトーマ
- STEP3 コンフォートゾーン
- STEP4 エフィカシー
- STEP5 セルフトーク
- STEP6 アファメーション
- STEP7 ビジュアライゼーション