「アファメーションは効果がない」という話や、「アファメーションの効果がなかなか表れない」という悩みを耳にすることが少なくありません。
一方で、「アファメーションは非常に効果がある」と言う人がいるのもまた事実ですし、コーチングにおけるマインド変革法の最たるものとはアファメーションと言っても過言ではありません。
この記事では、アファメーションにおける効果の有無とは、一体どういった違いによって生じているのかを解説していきたいと思います。
アファメーションとは?
アファメーションとは、ゴールを達成したり、理想の自分とマインドを創るために、自分自身の脳と潜在意識に語りかける言葉、ルールに基づいた文章のことです。
私は、流暢な英語で世界中の人たちとの交流を楽しんでいる。豊富な語彙力と美しい発音のおかげで、会話が弾み、エキサイティングな日常を過ごしている。
私たちは世界中を旅してまわり、様々な国や美しい名所、多様な文化に触れ、ダイビングや船旅を楽しみ、超一流ホテルや楽園でのひと時を満喫している。
- 個人的なものであること
- 肯定的な表現のみを使う
- 現在進行形で書く
- 達成しているという内容にする
- 決して他人との比較をしない
- 動きを表す言葉を使う
- 感情を表す言葉を使う
- 記述の精度を高める
- バランスをとる
- リアルなものにする
- 秘密にする
コーチングの創始者であるルー・タイスの言葉に以下のようなものがあります。
「言葉が人生を決定する」
「潜在意識は、超高性能テープレコーダーのようなものだ」
潜在意識には、過去に自分自身に語りかけてきた言葉をそのまま実現するかのように振る舞う特性があります。つまり、今のあなたの身の回りの状況や環境とは、過去にあなたが自分自身に対して語りかけてきた言葉の集大成ということができます。
それを表しているのが、上記のルータイスの言葉です。テープレコーダーという表現は現代では使われなくなりましたが、要は、録音した言葉をそのまま忠実に再生するテープレコーダーのように、潜在意識は記憶した言葉をそのまま忠実かつ正確に実行するかのごとく思考し、行動を起こすのが、その最も典型的かつ重要な働きなのです。
ですから、日々の使ったり発する言葉を変えさえすれば、自然と行動や判断の仕方に変化が訪れるのは当然ですし、アファメーションをきちんと正しく実践していれば、マインドは確実に変化し、潜在意識はこれまでの身の回りの環境や自分自身のあり方に違和感を感じはじめ、私たちは自然で無理なく無意識に、これまでの人生や生き方とは異なったアファメーションに沿った判断と行動を取ろうとするようになります。
アファメーションの効果がない人の特徴
先に、アファメーションの効果がない人たちの特徴と共通点を挙げておこうと思います。
じつは、アファメーションの効果がない人たちの状況をつきつめてみると、大きく分けて以下の3つのパターンにしか分かれません。
- 「アファメーションは効果ない」と自分自身にアファメーションしている
- 日々のセルフトークとアファメーションが衝突している
- アファメーションをきちんと正しく実践していない
① アファメーションは効果ないと思い込んでいる
アファメーションの効果がないパターンの最も本質的かつよくあるのは、「アファメーションは効果ない」と自分で自分にアファメーションしてしまっているパターンです。
これは、本当によくあることで、加えて深刻なのは、その本末転倒な事態に自分では全く気付いていないことです。
潜在意識はまさしく超高性能テープレコーダーのようなものです。良くも悪くも、善悪の判断なしに潜在意識に記憶された言葉や情報、セルフイメージどおりの判断や行動を取ろうとするのがその特性です。
ですから、「アファメーションは効かない」と信じ、またそれを自分自身に語りかけていたら、潜在意識はアファメーションの効果が出ない方向に判断をしたり、行動を起こしたり、あるいはスコトーマ(心理的盲点)を築きます。
アファメーションの効果がきちんと出ている部分についてはスコトーマを築いて、それらを認識できなくなるのです。「アファメーションが効果ない」と言って自分で自分に暗示をかけ、そうして実際に潜在意識の働きによってアファメーションが効かないというように知覚・認識をします。
しかし、実際は、「アファメーションが効果ない」というアファメーションはしっかりと実現できているという本末転倒な事態に陥っているわけです。
「スコトーマ」という用語についてはこちら
これと似たような話に、「私にはゴールがない」「ゴールがなかなか見つからない」という悩みを持つ人たちがいます。人生を大きく変えたいとか、コーチングを実践して幸せになりたいというのに、肝心なコーチングの大前提となるゴール設定がなかなかうまく見つからないという状況です。
このような人たちにも、ほぼ間違いなく共通して、ゴール設定やコーチングが上手くいかなくなるようなアファメーションを自分で自分に課してしまっているパターンが非常に多く見受けられます。
「ゴールがない」「ゴールが見つからない」「コーチングがうまくいかない」などというネガティブなアファメーションがそれです。
当たり前ですが、アファメーションとは、自分に幸福や豊かさを招き入れたり、ゴール達成を加速・実現するために実践すべきものです。
あるべき理想の自分に必要な”言葉”を敢えて自分に語りかけてマインド変革を促し、潜在意識の働きをゴールや理想の自分に対して肯定的にするような技術がアファメーションです。
ですが、現実のアファメーションの場面を見ていると、人生を加速させるはずのアファメーションが、実際には理想のマインドを構築する足かせになってしまっている例が多く存在するのです。
② セルフトークとアファメーションの衝突
セルフトークとは、日々自分自身に語りかける言葉のことです。
セルフトークとアファメーションが衝突してしまっていて、アファメーションの効果がなかなか表れないという状況に陥ってしまう人たちも非常に多く存在します。
豊かさを望んで、一生懸命にそれらを表現するアファメーションを読んでいながら、一方で人との会話や口癖では、以下のような言葉を発してしまっているような場合です。
- 「私にはできない」「私なんかには無理だ」
- 「大変だ」「難しい」「疲れる」
- 「自信がない」「できる気がしない」「エフィカシーが上がらない」
- 「縁がない」「出会いがない」
- 「人との会話がうまくいかない」「人間関係はトラブルばかり」
- 「今月もお金がない」「いつもお金と生活に困っている」
- 「いつも調子が悪い」「体力や健康に自信がない」「○○が痛い」
- 「私は失敗ばかりだ」「いつもうまくいかない」
- 「私はツイてない」「私は運が悪い」
- 「アファメーションが効かない」「ゴールが見つからない」
セルフトークとは、自分自身に語りかける言葉ですが、それはすべて、潜在意識に対するアファメーションになってしまうという意識と自覚を持つことは、非常に大切です。
私たちの発する言葉を最も間近で、すべてを聞いているのは、自分自身の潜在意識だからです。
セルフトークに関して、まず第一に意識すべきことは、「自分が日々どのような言葉を使っているかをしっかりと自覚・認識する」ことです。
意識することなしに、自分が日常で無意識に発してしまっている自覚のないネガティブなセルフトークを直すことはできません。まず自分にとってふさわしくない言葉の存在に気づくことではじめて、その否定的なセルフトークを直していくことができるのです。
③ アファメーションをきちんと実践していない
アファメーションはきちんと正しく実践して、そして継続してはじめて、効果が最大限に表れるものです。アファメーションの効果がないという人たちを見ていると、「素直さ」と「愚直さ」という点に問題があるように思います。
- ルールを無視して自己流にアファメーションを書いている
- 毎日朝晩、愚直に継続してアファメーションを読んでいない
- アファメーションを声に出していない
ルールに基づいたアファメーションこそ、ゴール達成への最短距離です。
先にご紹介したアファメーションの11のルールとは、何を目指しているのかというと、一言で言ってしまえば、アファメーションで描写している情景やゴールの世界観をよりリアルにすること、頭の中に存在するあるべき理想とするイメージの臨場感とリアリティを最大限に高めることにあります。
潜在意識は、リアリティの最も高い世界観、イメージや情景を自分にとっての真実として受け入れ、真の目的地として認識する性質があるからです。
そしてまた、アファメーションをきちんと声に出して唱えたり、あるいは毎日朝晩しっかりと読み上げるという習慣を持つことによって、アファメーションは最も効果的に潜在意識に刷り込まれます。
アファメーションに描かれた世界が脳内で最もリアルに描写されるようにするためには、この点は欠かすことができません。
アファメーションを最大限に効果アップする方法
① 11のルールに準拠する
- 個人的なものであること
- 肯定的な表現のみを使う
- 現在進行形で書く
- 達成しているという内容にする
- 決して他人との比較をしない
- 動きを表す言葉を使う
- 感情を表す言葉を使う
- 記述の精度を高める
- バランスをとる
- リアルなものにする
- 秘密にする
アファメーションのルールに関する詳しい解説はこちら
アファメーションのルールをきちんと実践することが、アファメーションの効果を最大限に発揮させる秘訣です。
すべてのルールは、アファメーションの再現する「脳内でのゴールの世界のリアリティ」を最大限に高めるという一点に関わっています。
I(Image)× V(Vividness)= R(Reality)
イメージに鮮明さが伴うと、リアリティ(現実)になる。
鮮明で明確なイメージの描写が、脳内のリアリティをつくるのです。
人間は、脳内に蓄積されたリアリティに従って、無意識に判断をしたり、また行動します。
リアリティのないものは、どんなに頑張ってゴール設定をしても、脳や潜在意識はスルーしてしまいます。
アファメーションに関するよくある誤りのひとつが、アファメーションを「現在形」かつ「肯定形」または「断定形」にしていないことです。
たとえば、「私はフェラーリが欲しい」とか「私はフェラーリを手に入れるだろう」「私はフェラーリやお金のない生活を望んでいない」というのは、アファメーションとして機能しないということです。
これらのアファメーションは潜在意識に対して、「私は豊かさやフェラーリを”まだ”手に入れていない」という前提・暗示になってしまいます。

アファメーションというのは、頭の中でゴールの世界のリアリティを強化し、ゴールの世界を「自分にはふさわしく当たり前の世界だ」と潜在意識に認識させることですから、否定形や未来形で表現するようなアファメーションでは、臨場感が足りず、効果が表れないのです。
「今、手に入れている」「今、すでにゴールを達成している」という前提で表現するのが、アファメーションの正しいやり方です。
また、アファメーションは他人には見せず、秘密にします。ひとりでこっそりとアファメーションを書き留め、唱えるのです。特に、親や家族や友人に見せるのはおすすめしません。
ゴールやアファメーションを他人に見せてしまうと、怪訝(けげん)な反応をされたり、ゴールを否定されたり、「君には無理だよ」「そんなゴールはやめた方がいい」「夢物語に浸ってないで現実を見なさい」「そんなことではまともに食ってはいけないよ」などと言われ、ドリームキラーが現れてしまうからです。
ドリームキラーとは、「夢を壊す人」「ゴール達成を邪魔してくる人」のことをいいます。
ドリームキラーは、あなたのゴール達成を妨げ、やる気をなくさせ、エフィカシー(ゴール達成への確信)を下げてくる厄介な存在です。
ドリームキラーには注意をしなければなりません。
② アファメーションは声に出して読む
アファメーションは必ず、”声に出して”読んでください。人間の脳は、頭の中で思ったことよりも、「口に出したこと」「声に出したこと」を信用してしまうからです。
認知科学では、このことを「外部化」と表現します。
声に出すことで、一度、思考した情報を脳から表(脳の外側)に出して、耳で自分の声を聞き、再びその情報を脳に再インプットする、フィードバックすることを意味します。
この「外部化」という手順は、リアリティという点で非常に優れた性質を持ちます。声に出すことで、アファメーションの再現する世界の臨場感が圧倒的に高まるのです。
脳は、「臨場感」「リアリティ」の高いものを真実として受け入れる特性があります。
アファメーションを声に出して読むことによって、脳内でのゴールの世界の再現性を最大限に高めることは、コーチングにおいて非常に重要なスキルなのです。
アファメーションを心の中だけで唱えることも、もちろんアファメーションをしないよりは、セルフトークとして遥かに素晴らしいことですが、それでも、目の前の現実世界における営みによって生じる雑多な思考からマインドと望む世界のリアリティを守るためには、アファメーションは声に出して読むようにしてください。
たとえ、呪文や言霊を小さな声でささやくような程度でも構いませんから、「口から言葉として声に出す」という行為そのものに大きな意味があり、絶大な効果が発揮されます。
アファメーションを声に出すことによる脳への影響とその働きについては、以下の記事が参考になります。脳の3層構造から生じるメカニズムについて詳しく解説しています。
③ 毎日の”瞑想時間”を確保する
アファメーションは毎日少なくとも2回は、しっかりと「イメージの時間」「瞑想時間」を確保する必要があります。
もちろん、それより多いに越したことはありません。時間と回数を積み重ねるほど、脳内でのゴール側のリアリティは高まり、ゴール達成をより加速させることができます。
アファメーションは基本的にはいつ読んでも構いません。気分の向かない時に無理をして感情をネガティブにしてしまっては、エフィカシーを下げる原因となります。
ただ、最も効果的なアファメーションのタイミング、潜在意識にアプローチしやすい時間帯というのは確かにあって、最も効果的な時間帯とは、「夜の就寝前」と「朝の目が覚めた直後」です。
この時間帯が最も効果的にアファメーションの内容を潜在意識に対し刷り込むことができます。
アファメーションを唱え、そして目を閉じてアファメーションに描かれた世界をイメージします。ゴールを達成した時に感じるであろうワクワクした感情とともに、ゴールの世界に浸り切ります。
このプロセスを一つひとつのアファメーションに対して行っていきます。
④ セルフトークを管理・改善する
セルフトークとは、自己対話であり、「自らに語りかける言葉」のことです。
「アファメーションの効果がない」という人たちを見ていると、十中八九、その人たちのセルフトークがよくありません。彼らは、アファメーションの内容に矛盾するセルフトークを無意識のうちに、頻繁に発してしまっているのです。
アファメーションを熱心に唱えていたとしても、日常にそれらの内容とは相反するネガティブなセルフトークが蔓延していたら、脳内ではアファメーションの効果が打ち消され、ゴールのリアリティが一向に高まらず、せっかくのアファメーションが台無しになってしまいます。
あなたは、アファメーションを毎日、何回唱えていますか?
その一方で、あなたは、ゴールに矛盾するセルフトークやネガティブな口癖を毎日何回、口走ってしまっていますか?
ゴールのリアリティを高めるべきアファメーションと、ネガティブなリアリティを下げてしまうセルフトークとの回数比率を冷静に観察してみるとよく分かりますが、多くの人たちは以下のようになってしまっています。
ネガティブなセルフトークの回数 > アファメーションの回数
ネガティブなセルフトークをやめる!!
これに尽きます。もしくは、ネガティブなセルフトークに気づいたら、それとは真逆の言葉や、あるいはあらかじめ作っておいたアファメーションを自分に対し語りかけます。言い直して、ネガティブなセルフトークを打ち消すのです。
言葉遊びのように感じるかもしれませんが、あなたの声を一番に聞いているのは、あなた自身の脳と潜在意識なのです。
はじめに言葉があった
言葉は神と共にあった
言葉は神であった
この言葉ははじめに神と共にあった
すべてのものはこれによってできた
できたもののうち一つとしてこれによらないものはなかった
この言葉に命があった
新約聖書 ヨハネによる福音書 冒頭
人間というのは自分の口から出た言葉の集積である。だから人間というのは自分の発した言葉に必ず出会うだろう。
エドガー・ケイシー(予言者)
言葉には人生を左右する力があるんです。この自覚こそが人生を勝利に導く最良の武器なんですよ。
絶対に消極的な言葉は使わないこと。否定的な言葉は口から出さないこと。悲観的な言葉なんか、断然もう自分の言葉の中にはないんだと考えるぐらいの厳格さを持っていなければダメなんですよ。
運命だって、心の力が勝れば、運命は心の支配下になるんです。
中村天風(思想家)
あなたのゴールは本心なのか?
アファメーションの効果が表れない場合、そもそも、ゴールがあなたにとってホンモノではない可能性があります。
「アファメーションのやる気が出ない」とか、「セルフトークのコントロールに本腰が入らない」というのは、ゴールがあなたにとって本当に望む真実ではないかもしれません。
ですから、本気になれないのです。
アファメーションとは、頭の中でゴールの世界のリアリティを強化するために行うツールです。
しかし、ゴールがあなたにとって本心や真実でないとすれば、そもそも本気と湧き上がる活力など到底起こるはずもありませんから、アファメーションをいくら熱心に、というより無理して唱えたところで、アファメーションの再現する世界のリアリティなど、高まるはずもないのです。
あなたが今持っているゴールは、あなたにとって真実であり、本心のゴールですか?
あなたのゴールは、心から成し遂げたいと願うホンモノのゴールですか?
- ゴールは「現状の外側」に設定する
- 心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する
- ゴールは人生の各方面にまんべんなく設定する(バランスホイール)
※ 「現状の外側」のゴールとは、現在の延長線上の未来には到底起こり得ない、自分が大きく変わらない限り、絶対に達成できないような遠く高いゴールのことです。達成方法が現時点ではまるで見えないゴールです。
上記の内容とエッセンスをしっかりと確認し、検証をしたら、まずは半年間、アファメーションをコツコツと愚直に、真摯な気持ちで実践し続けてください。
そのとき、自らの人生や行動、置かれた環境や生活習慣を丁寧に振り返ってみたとき、アファメーションの効果と実生活の変化に気づくことができるに違いありません。