うまくいかない時の心構えやコツ、コーチングの視点から見たマインドの正しい使い方について考えてみましょう。
誰でもうまくいかない時は必ずある

人間は、長い人生の中で、誰だってうまくいかないときがあります。
- なぜかやる気が出ないこと
- 壁に突き当たってしまうこと
- 挫折を味わうこと
- 色々な困難や感情に苛(さいな)まれること
- 先が見えなくなること
- すべてが嫌になってしまうこと
- 自暴自棄になること
- 現実逃避をしたくなること など
このような経験や時期がないことの方が、むしろ不自然でおかしいのです。
もし、そういう経験とか困難があまりないのだとしたら、それはその人が志の高い何かを持っていない可能性が非常に高いと言えます。
どのような大成功者たちも、その裏話を聞くと、そこに到達するまでには間違いなくと言っていいほど、「その苦心の末に今がある」というような経験談や人生観を必ず持っているものです。
「あきらめ」と「休息」は違う

うまくいかなくなったときや、大きな挫折を感じてしまったときなどに、潜在意識の働きやマインドの上手な使い方の観点から見た、注意すべき留意点とコツというものについて、少しお話をしてみましょう。
まず第一に、多くの人はこのような境遇に向かい合ったときに、「あきらめ」があります。
せっかく高い志やゴールが見つかり、それに邁進していた矢先のこと、大きな困難にぶつかると、「やっぱり私にはできないんだ」「私なんかにはこれが限界なんだ」という思考に陥りがちです。
この思考パターンこそが、多くの人が人生を大きく変えることのできない最大の理由と言えるかもしれません。
コーチングにおける最も重要な”スキル”のひとつをお伝えしましょう。
- 「あきらめ」と「休息」はまったく別物であるということ
- あきらめとは、その時点でゴールや目標を放棄すること
- 休息とは、ゴール達成のために一息入れ、心の体制を整えること。それまでの間、ゴールのことを一旦、脇にそっと置いてやること
両者をこうして文字の形にして並べ比べてみると、とても当たり前すぎる内容で、誰でも聞いてみれば、「そりゃそうだ」と思えることでしょう。
しかし、いざ自分がそのような境遇に立たされてしまうと、途端に不思議とこれらのことを忘れてしまう。「ちょっと前進や成長を休めばいいじゃないか」というだけのことなのですが、それがわりと難しいのです。
だからこそ、休息や上手くいかない時のマインドの上手な使い方というのは、コーチングにおける非常に重要なスキルだと強調してしまっても差し支えないわけです。
”続ける”意味と価値とは?!

あきらめてしまったら、今までそのゴールのために、身の回りや頭の中で蓄えてきたこれまでの努力の結晶や心の財産が、すべて無駄になるとまではいいませんが、大部分が仕切り直しということがあり、もったいないと言わざるを得ません。
「続ける」「ゴールを持ち続ける」ということには、私たちが思っている以上に、大変に大きな価値があるのです。
1.01の365乗は、約38倍
0.99の365乗は、約0.03倍
その日たった1%でも成長することができれば、それが1年365日続くと、なんと”38倍”にまでも大きく成長していくことができます。
その日何もせず、その日のうちにたった1%でも後退してしまうことがあれば、それが1年365日続くと、なんと0.03倍にまでも落ち込んでしまいます。
この掛け算は、いい意味でも悪い意味でも、驚くべき作用とこの世の真理を的確に表しています。
あきらめを”多用する”人々は、この数字と掛け算を単に知らないだけなのですが、それくらいの知識の差の程度のことが、この世界のあるゆる人たちの格差を生んでしまっていることを考えると、とても残念な気持ちになるのは、私だけでしょうか。
「継続は力なり」という言葉は、誰でも知っている耳にタコができるほどの謳い文句ですが、その言葉になかなか信用が置けないという人がいたとしたら、上記の掛け算と数字を教えてあげると、また別の世界の見方ができるようになるかもしれません。
”正しい”休息の仕方

人は、忘れる生き物です。幸い人は、嫌な記憶や感情を時間に頼ることで、多くを解決できる場合が少なくありません。
世間では忘れ去られてしまうことに対して、一種の恐怖心と罪悪感を伴う風潮が見受けられますが、そんなことは決してありません。
忘れることは、じつは力なのです。忘れることは、時として、人生を大いなる世界へと導き、躍進させます。
しかし、絶対に忘れてはいけないこともあります。
それはコーチングの場合においては、「ゴール設定」です。加えて、せっかく今まで書き貯めてきたあなたの貴重な「傑作アファメーション集」なのです。
ゴールの世界を潜在意識に忘れさせてはいけない。それが非常に重要なスキルであり、エッセンスとなります。
やるべきことは非常に単純かつシンプルです。
ゴールやアファメーションをノートに書き留めておく
もしくは、スマフォのメモ帳にでも残しておく
たったこれだけのことで、あなたに再び機会と運勢がめぐってきたときに、あなたとその持ち得る心の奥底の潜在能力は、その命と息吹を再び吹き返すことができます。
答えを聞いてしまえば、誠にもって単純かつありふれた行為に思えるものかもしれませんが、その単純な行為こそが、この世のほとんどの人たちにはできない相談なのです。
このほんの僅かな行為の微差こそが、この世界のいわゆる”上”と”下”、”天”と”地獄”を分け隔てているものだとしたら、あなたはこれらの単純な行為に対して、どのような思い入れと感情を抱きますか?
人は数年前の問題を勝手に解決している

基本のテクニック的なことに関して言えば、私は上記だけでも十分だと思います。
ただ、せっかくの機会ですので、もう一歩踏み込んでみましょう。
人が、一つの同じ問題に対して長い期間悩み続けるというのは、じつは稀(まれ)なことなのです。
例えば、あなたは2年前や3年前くらいの「真剣に悩んでいた問題」に対して、正確に記憶し答えることができますか? 明確に思い出すことができますか?
おそらく、多くの人の答えは、”いいえ”なのです。
これが潜在意識の力なのです。無意識的ではありますが、潜在能力の為せるワザというものです。
深刻な悩みに対して、そのときは精神的に非常につらく苦しいものですが、一方では、その人にとって”強く明確なゴール”が設定されたことになります。
お察しのとおり、「その深刻な問題に対する解決」こそが、その時点での新たなゴール設定です。
そして潜在意識は、強く明確なゴールができると本気を出しはじめ、ゴール達成に向かおうとします。
すなわち、ゴール達成のために必要な情報を集め出し、新たなゲシュタルト(まとまった記憶のかたまり、統合的な人格のこと)の一部として自らに取り込み、今までより数段上の高い人格と能力とセルフイメージを形成してしまうのです。
こうした、人間にはあらかじめ備わっている”問題解決能力”によって、人が同じ一つの問題に対して、長期間悩むというのは、じつは稀なことが分かります。
この事実を知っているだけでも、ずいぶんと生き方に対する自信と心持ちというのは、違ってくるのではないでしょうか。
セルフイメージを落とさない

上記のことが分かると、必要以上に深刻に悩む必要がなくなることが見えてきます。
人が深刻に悩みすぎると、過去を反省したり、自己嫌悪に陥ったり、やたら感情がネガティブに傾き、エフィカシーとセルフトークが極端に低下します。
コーチングについてある程度の理解と実践のある方であれば、これがどんなによろしくないことであるかは、よく分かると思います。
セルフイメージが、どんどんゴール側から離れていってしまうのです。ゴール達成がどんどん遠ざかっていき、いいことは何一つありません。
感情がネガティブに陥ってしまったときの”反省”というのは、百害あって一利なしです。
じつは、反省というのは、調子のいいときにこそすべきものであって、調子の悪いときにすべきこととは反省などではなく、可能であれば楽観、最も重要なことは、「ゴールをそっと脇に置いてやること」なのです。
このようにして物事の機会と運勢の流れを見極め、セルフイメージや特にセルフトークをネガティブに落とさず、再びゴールに邁進していくための”心の準備”をしておくことが、「うまくいかないときにこそ役立つマインドの上手な使い方」なのです。