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超正常刺激とは?克服して真のリラックスを体感せよ

こんにちは!!
ライフィングコミットの杉本浩章(Twitter:@lifingcommit)です。

この記事では、現代人に深刻なリラックス不足や原因不明の体調不良・不眠障害等を引き起こすストレスの根源を、「超正常刺激」という観点から掘り下げて解説し、皆さんを真のリラックスという道筋へと誘っていきたいと思います。

超正常刺激とは?


まずは、一般にはあまり聞きなじみのない「超正常刺激」という言葉について解説していきます。

超正常刺激とは、自然界にはない、文字通り自然を超えた刺激に対して、無意識に本能が反応してしまうような刺激のこと。現実にはあり得ないのに、その動物に対して特定の行動を取らせる刺激のことです。

超正常刺激は、動物行動学の父として知られるオーストリアのコンラート・ローレンツ博士が発見し、知られるようになりました。

超正常刺激の具体例を見てみましょう。

「ミヤコドリ」(都鳥)という鳥がいます。

この鳥には、本能的により大きな卵を選んで、優先的に育てるという性質があるそうです。ですから、研究者が卵より大きなボールを与えてやると、ミヤコドリは自分が産んだ本物の卵を放棄して、与えた人工のボールを温めようとします。

これは、ミヤコドリが本能として、あるいは遺伝的に「より大きな卵を選んだ方が、厳しい自然界をより確実に生き残れる」という単純なプログラムしか備えていないためです。自然界にはボールのようなものは存在しませんから、ミヤコドリには卵と人工のボールを区別する能力や遺伝的プログラムが必要なかったのです。


この現象を聞いて、「なんて間抜けな鳥なんだ」と思ってしまった人もいるかもしれません。

しかし、じつは私たち人間たちの方も、ミヤコドリに負けず劣らず、この超正常刺激に振り回された日常生活を送っている場合がほとんどなのです。

○○中毒と呼ばれるものがそうです。スマフォ中毒・SNS中毒・ポルノ中毒・糖質中毒・アルコール中毒などがそうです。これらはモラルの低下とか、忍耐が足りないとか、そういった意識や意志力の問題レベルの話ではありません。医学的かつ精神的な中毒疾患と捉えるべきものなのです。

覚せい剤などは、その最たる例でしょう。一度ハマってしまうと、自分ではもうどうにも止められなくなってしまいます。

私たちの身近に潜む超正常刺激とは?

① パソコン・スマフォ(情報中毒)

現代に潜む超正常刺激は様々なのですが、まずその筆頭として挙げるべきは、パソコン」や「スマートフォン」でしょう。

当然のことながら、パソコン・スマフォは現代特有のアイテムで、自然界には決して存在しないものです。人類は、約700万年という長い進化の過程で生き残るための術(遺伝的プログラミング)を非常に多く獲得してきました。

その中には、情報の収集や、より親密なコミュニケーションという生理的な本能が存在します。元々狩猟民族だった人類は、「適切で効率のよい狩場や獲物はどこか?」「より安全確実に生き長らえる方法は何か?」「どういった人物を仲間にすべきか?」といった情報は、生存に欠かすことができない貴重なものだからです。

そうした本能を持つ人類の本能は、素早く手軽に情報を入手できるインターネットやスマートフォンに強く興味を惹かれ、反応してしまいます。しかし一方で、現代特有のデジタル機器には、私たちの脳と身体は進化が追い付かず、適応しきれていない現状と矛盾が存在するのも、また純然たる事実でもあるわけです。

特にスマフォは、限られた非常に狭い液晶画面を長時間凝視するため、目の筋肉や自律神経が過緊張を起こし、リラックスを司る副交感神経の働きを麻痺させてしまいます。当然、疲労は蓄積し、緊張によって血管は収縮しますから、血流も阻害されます。

スマフォが疲れるのは、純粋に目の酷使に加えて、この自律神経の過緊張によるものなのです。


他方、SNS中毒やポルノがやめられない人が非常に多く存在します。もちろん、それらが絶対悪で、やってはいけないということではありません。大切なのはバランスで、パソコン・スマフォに翻弄され、コントロール能力を失うことが問題なのです。中毒が高じて、適切な健康管理や生活能力・人間関係を失ってしまっては、QOLは著しく低下してしまうばかりでしょう。

SNSにハマるのは、前述した親密なコミュニケーションを求める本能が反応してしまうからです。ポルノにハマるのは、たかだか男と女の過去の痴態データであるにもかかわらず、人類は子孫と遺伝子を後世に残すという遺伝的プログラミングを持つがゆえに、本能的に反応してしまうと考えられます。


その代表的な例が、2017年にテキサス大学が行った実験です。研究チームは520人の学生に単純な作業を命じると同時に、目の前に電源を切ったスマホを置いたグループと、スマホを視界から遠ざけたグループの2つにわけ、どちらのほうが集中力が持続するかを確かめました。

結果は、スマホを近くに置いたグループの惨敗でした。完全にスマホの電源は切った状態だったにも関わらず、もうひとつのグループにくらべて、学生の集中力は半分に減ってしまったのです。

研究チームは言います。

「デジタルデバイスが近くにあるだけで、認知機能は大きく低下する。デバイスの存在を近くに感じた時点で、目の前の作業に使える認知のリソースは減ってしまうのだ」

スマホは現代人の生活を大きく変えましたが、そのいっぽうで古代に生まれた脳は技術の発達に追いつけず、限りある認知のリソースをムダに消費しています。その点で、現代人の集中力の低下も立派な文明病のひとつなのです。

鈴木祐 著「最高の体調」p28より引用

② 白米・小麦・砂糖(糖質・炭水化物中毒)

次にこの場で挙げなければならない超正常刺激はというと、「糖質・炭水化物中毒」です。白米、パンや麺類などの精製小麦食品、そして砂糖です。

自然界には、こういった人工的に過度に精製された糖質や炭水化物、糖度が不自然に高い食材は存在しません。

人類は長い飢餓との戦いの歴史の中で、糖質やカロリーをビタミン・ミネラルよりも優先的かつ本能的に求めるように、脳が進化しています。それが、私たちが無意識に糖質をやめられなくなる原因であり、甘いものに依存したり、つい白米やパンを食べすぎたり、そうして糖尿病や血糖値スパイクによる心筋梗塞・動脈硬化などの血管障害を引き起こしてしまうのです。

ジャンクフードが無性に食べたくなるのも、高カロリー食が手軽に手に入る時代だからこそです。

※ 血糖値スパイクとは、精製された糖質を摂取することで血液中の血糖値が急激に上昇し、そして血糖値を下げるためにインスリンホルモンがすい臓から急激に分泌され、血糖値が急降下します。この血糖値の乱高下のことを血糖値スパイクと呼び、結果的に下がり過ぎた低血糖状態を機能性低血糖と呼びます。

タンパク質や脂質が小腸に到達した場合、膵臓から各栄養素に対応した消化酵素(膵液)が著しく分泌を促進(刺激)されます。しかし、炭水化物が小腸に到達しても、タンパク質や脂質に比べて消化酵素の分泌が少ないことが研究でもわかっています。

この点からしても、炭水化物は消化液である膵液を刺激することが少ない栄養素で、消化の要であり、かつ最後の砦である膵臓も炭水化物の消化には重点を置いていないと考えられます。

その理由としては、700万年ともいわれる人類の歴史の中で、農耕を始める以前の699万年の間は炭水化物を大量に食べることがなかったため、人間の体にそこまでの対応ができていないからだと思われます。

福島正嗣 著「朝食にパンを食べるな」p69より引用

超正常刺激への効果的な対処法とは?

超正常刺激は自然界には存在しないもののため、自然とともに進化してきた私たちの身体や自律神経のバランスを崩し、目には見えない忍び寄るストレスや、原因不明の疲労・体調不良等を引き起こします。そうして、知らず知らずのうちに、私たちの健康寿命と命を削っているのです。

私たちが対処すべきは、このような超正常刺激の存在に気づき、上手に付き合ったり、それらから距離を置くように意識をしていくしかありません。

① パソコン・スマフォとの上手なつきあい方


パソコン・スマフォに関しては、依存しない程度に、自己のコントロールを徹底する。「デジタル断食」といって、パソコン・スマフォとの距離を置く時間や日にちを上手に設定するのが効果的です。

「〇曜日は目を休める日・デジタル断食の日」とか、「〇時以降はデジタル断食の時間帯」といった具合です。

元グーグルのプロダクトマネジャーでデザイン倫理学者のトリスタン・ハリス氏は、スマフォ中毒を克服するために、スマフォの画面をモノクロにすることをすすめています。

画面をモノクロにすることで、多くの誘惑や脳への快楽刺激から解放されるからです。

スマフォは、テレビやパソコンに比べて目に対する距離が非常に近く、また画面を凝視するため、目や網膜、特に色を認識する錐体細胞を酷使します。

そもそも人間とは、液晶画面という発光体を長時間凝視するような、自然界にはない不自然な行為に対して、耐性を持ち合わせてはいません。

人の遺伝情報や体の構造は、10万年以上前とほとんど変わっていないと考えられていますが、テレビのブラウン管や現代の液晶画面は、ここ数十年の間に急速に普及したものだからです。

② 上手な糖質制限のやり方

糖質・炭水化物中毒は、白米や砂糖、パンや麵類などの精製小麦食品を控えるように、意識をしていかなければなりません。これらは人体に甚大なる不健康や病気を引き起こすものであり、依存していると、遅かれ早かれ確実に、何らかの深刻な病気に犯されてしまいます。

がんや糖尿病や心疾患、原因不明の精神障害等は、これら糖質中毒による血糖値スパイクが原因の多くを占めていると考えられます。

しかし、単純に糖質・炭水化物を控えるというだけでは、体が持たず、栄養失調に陥ってしまいます。糖質・炭水化物を控える代わりに、肉や魚、野菜や果物などはきちんと食事を摂るようにしなければなりません。良質なタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの摂取は、健康の要となります。

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