この記事では、コーチングのゴール達成において非常に重要な位置を占める「アファメーション」の最も効果的な書き方・やり方について、例文を交えて解説していきます。
アファメーションとは?

目標やゴールを達成するための最強の方法はというと、そのひとつは間違いなく、「アファメーション」でしょう。
コーチングの創始者である「ルー・タイス」(1936~2012年)がこよなく愛し、そして人々に熱心に伝え続けた技術、磨き続けたエッセンスがアファメーションなのです。

心理学者、米国自己啓発界、能力開発の世界的権威、コーチングの創始者
アメリカ・ワシントン州生まれ
アファメーションとは、自分自身と脳や潜在意識に語りかける以下のような言葉・文章のことです。
私は超一流コンサルタントとして各地を飛び回り活躍している。多くの人々に最も必要とされ、影響力を持ち、クライアントにとって最大限の利益をもたらす存在であり続けることを誇りに感じている。
私たちは世界中を旅してまわり、様々な国や美しい名所、多様な文化に触れ、ダイビングや船旅を楽しみ、超一流ホテルや楽園でのひと時を満喫している。
私は美しく、あらゆる人々を瞬時に魅了する存在。多くの人を癒やし、心を弾ませ、生きる力を与えている。そうしてまた、人々の感動と喜びが、私にも勇気と励みを与えてくれていて、嬉しい。
人生の目標やゴールをかなえ、達成するためには、ゴールの世界にふさわしい自分、マインドやセルフイメージを育む必要があります。
人生とは、マインドのあり方で決まり、身の回りの環境と世界の姿とは、マインドの”写像”に過ぎないからです。
そのためには、「自分とはこういう人間なんだ」という自分のあるべき姿、理想のセルフイメージを潜在意識に対して強く刷り込む必要があります。
アファメーションとは、それを可能にするための技術・方法論です。脳や潜在意識に対して語りかける「ルールに基づいた文章」のことです。
アファメーションとは、ゴールを達成するために必要な自分やあるべき姿、情景をリアルに文章の形で表現して、それを読み上げ、頭の中でゴール側のリアリティを高める目的で行うものです。
そうして、ゴール達成をより加速・確実なものにする技術です。
まずは「ゴール設定」から「リアリティ」へ

- ゴールは「現状の外側」に設定する
- 心から望むこと、成し遂げたいことをゴールとして設定する
- ゴールは人生の各方面にまんべんなく設定する
※ 「現状の外側」のゴールとは、現在の延長線上の未来には到底起こり得ない、自分が大きく変わらない限り、絶対に達成できないような遠く高いゴールのことです。達成方法が現時点ではまるで見えないゴールです。
ゴールをきちんと設定したら、ゴールを達成できる自分とはどんな人物なのか、どうあるべきなのかを頭の中でリアルに、臨場感豊かに描く必要があります。
脳は、リアリティのないものは、目標として認識しないからです。リアリティがあってはじめて、脳や潜在意識はそれらが真の目的地・自分にとってふさわしい真実の世界であると認識し、今の自分に足りないものを本気で追い求めるようになります。
頭の中でゴールを達成するために必要な自分や世界の情景をよりリアルにする、潜在意識にその姿を強く刷り込むために、目標とする世界をアファメーションという文章の形で表現し、書き留め、それを読み上げます。
アファメーションは、簡潔に、明確に、具体的に、将来の自分を詳細なイメージで伝えるものでなくてはなりません。
目標を文字の形にすることで明確さにより磨きがかかり、洗練され、望む世界のイメージがより鮮明に頭の中に描写されます。
そのイメージは、それが喚起する感情とともに、それがすでに達成されたことであるかのように目標を潜在意識に刷り込みます。
頭の中のビジョンや理想、目標、あるいは将来を今の現実より強力でリアルにしたいと思うのなら、感情の力を使うことが必要です。
このとき、人に与えられた目標や心から望んでいないようなゴールでは、精緻かつ純粋に理想とする世界やビジョンを美しく鮮明に描写することなどできないでしょう。
ゴールは、先にご紹介したゴール設定のルールにもあるように、心から成し遂げたいと思えることでなければなりません。
以下のワークがゴール設定やアファメーションづくりに役立ちます。
アファメーションのやり方

① アファメーションの11のルール
アファメーションには、「11のルール」が存在します。すべてのルールは、ゴールを達成するために、ゴール側のリアリティを高める目的であるものです。
- 個人的なものであること
- 肯定的な表現のみを使う
- 現在進行形で書く
- 達成しているという内容にする
- 決して他人との比較をしない
- 動きを表す言葉を使う
- 感情を表す言葉を使う
- 記述の精度を高める
- バランスをとる
- リアルなものにする
- 秘密にする
※ 詳細な解説は後述します。
参考文献 / 推薦図書:
苫米地英人 著「言葉があなたの人生を決める」
ルータイス 著「アファメーション」
② アファメーション例文
I manage my own mind.
I could be more, do more, and have more.
I am going to start with myself, with my own self talk, and build out from there.
Lou Tice
私は自分自身のマインドを上手に使っている。
私はもっと大きな人間になれる。もっと多くのことができる。もっと多くを手にすることができる。
私は自分自身のこと、自分に語りかける言葉からはじめ、可能性の扉を切り拓いている。
ルー・タイス
私は魅力的な言葉を使い、ワクワクし、笑いに包まれ、人の心に火を灯し、目の前のあなたに向けた深愛な聴く力と共感力で、魂揺さぶる感動や喜びをもたらしている。
私の世界に通用するビジネスと情報発信は、人々に大いなる感動と喜び、幸福と繁栄をもたらしているので、瞬く間に世界中へと拡がっていって、嬉しい。
私は、流暢な英語で世界中の人たちとの交流を楽しんでいる。豊富な語彙力と美しい発音のおかげで会話も弾み、あらゆる英語や書籍をスムーズに理解し、エキサイティングな日常を過ごしている。
私は最高に恵まれた自然環境の中でゴルフを堪能している。美しいスイングと正確で圧倒的な飛距離を実現し、素晴らしい仲間たちとともに至福の時間を満喫している。
私は優しくて心安らぐ、大好きな恋人と時を共に過ごし、幸せで満たされた生活を存分に満喫している。楽しいことを一緒に体験し、つらいことを一緒に乗り越え、人生と豊かさを共に分かち合っている。
私は、自分にとって理想的な成果を出し続けるためのビジョンや自身のあるべき姿を追求し続けている。そうして私は、一歩一歩着実にゴールへと近づいていっているので、充実した毎日を実感している。
③ アファメーションの読み方
アファメーションは、脳や潜在意識の奥深くにまでしっかりと落とし込むために、毎日少なくとも2回は、声に出して読みます。
もちろん、それより多いに越したことはありません。回数を積み重ねるほど、脳内でのゴール側のリアリティは高まり、ゴール達成をより加速させることができます。
アファメーションは基本的にはいつ読んでも構いませんが、最も効果的な時間帯とは、「夜の就寝前」と「朝の目が覚めた直後」です。
この時間帯が最も効果的にアファメーションの内容を潜在意識に刷り込むことができます。
アファメーションを声に出して唱え、そして目を閉じてアファメーションに描かれた世界をリアルにイメージします。ゴールを達成した時に感じるであろうワクワクした感情とともに、描かれた世界に浸り切ります。
このプロセスを一つひとつのアファメーションに対して行っていきます。
アファメーションのルールを解説

アファメーションの「11のルール」について解説をします。メカニズムを深く理解することで、より野心的かつ大胆に、アファメーションを描けるようになるでしょう。
- 個人的なものであること
- 肯定的な表現のみを使う
- 現在進行形で書く
- 達成しているという内容にする
- 決して他人との比較をしない
- 動きを表す言葉を使う
- 感情を表す言葉を使う
- 記述の精度を高める
- バランスをとる
- リアルなものにする
- 秘密にする
① 個人的なものであること
アファメーションは、「私は」もしくは「私たちは」という主語を使って書きます。アファメーションは他人を変えるためのものではありません。自分自身のマインドに働きかけるために行うものです。
チームや組織全体で共有し、語りかけるアファメーションの場合は、「私たちは」を主語にして書きます。組織全体で共有するアファメーションとしてよく知られるものに「クレド」があります。
② 肯定的な表現のみを使う
脳や潜在意識に否定形は通じません。「りんごをイメージしないでください」と言われると、人は普通、りんごをイメージしてしまうものです。
望む世界や豊かさをイメージすべきときに、その逆となる貧困や困難、不幸や消極に関わる言葉を用いれば、脳は自然とそちらのネガティブな方へと引きづられていってしまいます。
ですから、アファメーションを描くときは、肯定的な表現のみを使って書くようにします。
③ 現在進行形で書く
アファメーションは、望む世界やゴール側のリアリティを強化するために用いるべきものです。”今”、あなたは理想とする世界に存在するのです。
ですから、過去形や未来形を使うべきではありません。日本語の場合、「断定形」「現在形」「現在進行形」をを使って表現します。
④「達成している」という内容にする
上記の③「現在進行形で書く」同様、アファメーションはあるべき理想の自分のリアリティを強化するために行うものですから、アファメーションは「達成している」という内容にし、描かれた世界がすでに達成されたことのように表現します。
そうして、リアリティを高め、コンフォートゾーンをゴール側へと移行させます。
「私はこれからゴールを達成するであろうはずの人物です」では、リアリティに欠けてしまうのです。もうすでに、「私は達成している」のです。
⑤ 決して他人との比較をしない
コーチングでは、他人との比較はしません。「私は彼よりも優秀で豊かだ」というようなアファメーションは用いません。
コーチングには「比較の概念」そのものがありません。言い換えると、”他人のものさし”や”色眼鏡”で世界を見たり、自分のゴールを決めるものではないのです。
他人に勝った負けたといって、それがどうだというのでしょうか。比較をすれば、ネガティブな感情に落ち込み、セルフイメージを下げるだけです。
ゴールやアファメーションは、自分自身が心から成し遂げたいと思えることだけに集中します。他人は一切関係ありません。自分のものさしと尺度で、アファメーションを描きましょう。
⑥ 動きを表す言葉を使う
アファメーションを書くとき、「動作」を示す表現を用いると、リアリティはより高まります。
例えば、「私は豊かだ」では、イマイチ臨場感が感じられません。
少し長い例になりますが、「私は多くの人々に貢献し、ビジネスを多方面に展開し、私の商品やサービスが広く受け入れられ、私は大きな喜びとともに豊かな人生を送ることができる」などというような、動作を伴った表現を用いると、リアリティは格段に高まります。
⑦ 感情を表す言葉を使う
”感情”を表す言葉や表現を使うと、リアリティはさらに高まります。
「嬉しい」「楽しい」「誇らしい」「気持ちいい」「清々しい」「満喫している」「堪能している」「心躍る」「ワクワクしている」「心地よい」「安らいでいる」「幸せ」「癒やされる」などのような、感情を表す表現を積極的に多用しましょう。
⑧ 記述の精度を高める
あいまいな表現や不明瞭な言葉は避けましょう。明確さは力となります。リアリティを高め、潜在意識に対して強く働きかけるからです。
アファメーションは、一度つくればそれで終わりというものではありません。絶えず磨き、洗練させ、ゴール側のリアリティを強化し、より効果的なアファメーションを作り込んでいきます。日々の実践の中で、その都度修正を加えながら、精度をさらに高めていきましょう。
⑨ バランスをとる
ゴールは人生の各方面にバランスよく設定します。それがバランスホイールの役割であり、豊かな人生に欠かすことのできない要素です。
したがって、そうしたゴール設定を反映し、あるべき自分と世界をリアルに描写する”バランスの整った”アファメーションが必要です。
人生のあらゆる方面をリアルに描写する多彩なアファメーションを表現していきましょう。
⑩ リアルなものにする
非現実的な内容は臨場感が高まらず、アファメーションの効果を十分に期待することはできません。
「私はいくつになってもプロ野球選手として活躍している」「私は宇宙空間でも生きていける」「私は男性でも子供が生める」などのような非現実的なものではなく、現実的でリアルな内容のアファメーションを描いていきましょう。
⑪ 秘密にする
アファメーションは、ゴールもそうなのですが、むやみやたらに他人に見せたり、話してはいけません。
コーチングにおけるゴールは、現状の外側に設定するものですから、多くの人はそれを見ると、否定的な判断や態度をとります。そういった人たちのことを「ドリームキラー」と呼びますが、ドリームキラーたちは、過去のあなたを基準にして判断し、物事の善し悪しを決めてきます。
コーチングに過去は一切関係ありません。そのようなドリームキラーたちの発言に振り回されるべきではありません。
最も有効なドリームキラー対策とは、「ゴールやアファメーションは、むやみに他人には話さない」ことです。
【コーチングを実践するための7ステップ】
- STEP1 ゴール設定
- STEP2 スコトーマ
- STEP3 コンフォートゾーン
- STEP4 エフィカシー
- STEP5 セルフトーク
- STEP6 アファメーション
- STEP7 ビジュアライゼーション